彼女ノ写真
また一つ、帰ってきた日常を実感する。ここにある日常は、決して当たり前の物じゃなく、それぞれがそれぞれの気持ちを、時間を、感性を持ち寄って、生み出している物なんだ。




当たり前の日常すら、奇跡なんだ。




ちょっとでも、何が、ホント些細な何かが狂っただけで、この当たり前は崩壊してしまうんだ。




そんな事を思っていると、きっと油断した顔をしていたのだろう、マキ先輩が抱き着いて来た。




「じゃあ、サクラでいーや」



「へ?何がですか?」



「シキが、私達をいじめるんだよ!迫害するんだよ!だから、その胸で慰めて!!」




何処でどうなって、こう言う展開になっているのか分からないまま、私はマキ先輩に絡みつかれていた。




迂闊だった。私が一人、物思いにふけている間に、そんな話になっていたとは。




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