彼女ノ写真
シキちゃんが行くんだ。夕食と言う時間にだ。自分の家とは歩いて三十分近く掛かる位置にある、友達の家にだ。




帰り道が心配────って事だ。




マキ先輩の家は、シキちゃんよりも二宮家からは離れているけど、何て事ない。恐らく、日本中の平凡な写真部の男子高校生よりも、遥かに屈強なボディガードに守られているのだから。




ただ僕のこの心配は、杞憂に終わった。週末だったし、流れで泊まろうか!って話になったからだ。先輩達は、最初からそのつもりだった様だけど。




そうなるとますます僕は、心苦しい立場に追いやられるはずだったのだけど、そんな僕を救ってくれたのは、二宮さんのお父さんだった。




キッカケは、最初に通された居間に飾られた、ACミランのスクデットを記念した幾つかのタペストリー。




サッカー好き!しかも、ミラン好き!!これは、素晴らしい共通点で、会話や状況における突破口を見つけた時の僕の社交性は、普段の僕よりも五倍ほど、スペックが増す様だ。




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