彼女ノ写真
僕の考えを伝える事もないだろうし、彼女からどう思っているかなど、聞く事も無いだろう。




先ほど吹き抜けた秋風が、再び吹いて、シキちゃんの長い髪を黄金色の空に導くように揺らす。少し離れた所で笑う、マキ先輩の呼ぶ声が聞こえる。




その声に、やれやれと言った表情を浮かべたシキちゃんが言う。




「行こっか。あ、エークン。君が止めないと、とんでもない事になるわよ、あの作品」




その憎々しくも憎めない、悪魔的な魅力を持つ笑顔で、右手を僕に差し伸べた。




差し伸べられたその手を掴む事で、実感する。




やっぱり僕は、この子の事を心の底から、愛している様だ。



END




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