彼女ノ写真
「じゃあ───僕、そろそろ行くよ。友達に昨日の英語の課題を写させてもらわないとね──────あ、そうだ、二宮さん。シキちゃんと友達になってくれて、ありがとう!」



「え?何、いきなり───って言うか、今っ?!」



「いや、だって、シキちゃんがいる所では言えないよ、こんな事。たぶん怒られる。

僕は、もうずっと前からシキちゃんと二宮さんは、友達だと思っていたからさ、最初に話を聞いた時、正式に友達になったって、どう言う事?って思ったんだけどね。

ただシキちゃんが、二宮さんと友達になったって事を嬉しそうに話してて、何かその顔を見てたら、そう決めた事ってあの子にとって、大切な事だったんだな~って思えたんだ。

だからさ、お礼って訳でもないけど、ありがとうは言っておきたかったんだよ。まぁ確かに、今さらかもしれないけどね、あはははっ」




私は思わず、微笑んだ。そして驚いた。




───凄いっ!───この人は、私と同じ歳でありながら、人を愛すると言う事を知っている。




なるほど、あのシキちゃんが恋をする訳だ。今更ながら、理解する事が出来た。




この二人の恋愛は、エークンが愛を受け持って、シキちゃんが恋を持って行っちゃってるんだな~と思う。




分別恋愛?───なんて形が存在するのか解らないのだけれども、でも、それがこの二人の形なんだろう。




この二人だけの形なんだ。





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