海の乙女
―――…
「…え?」
ここは停泊中の船の上。
「どうしたの、ライト?」
ライトと呼ばれた一人の青年は街の方をじっと見つめていた。
ライトの異変に気がついたのか一人の女性が話しかけた。
「ロビンか。いや、いまなんか声が聞こえなかったか…?」
「声?声なんてしたかしら?」
ロビンと呼ばれた女性は辺りを見渡したが人影は見当たらなかった。
ライトは少し考える仕草をしたあと
「……悪い、オレちょっと街に行ってくるわ」
と、唐突に言い出したかと思ったら、ライトは一人街へ降りる準備をそそくさとしだした。
「え、ちょっと!どこに行くのよ?」
ロビンの言葉を気にも留めず、準備を進めていた。
「いや、とくには決まってないけど…。そこらへん?」
ロビンはライトが一度言いだしたら言うこと聞かないのをよく知っているため、ハァ…と溜息をついた。
「…わかったわ。ただし、面倒なことは起こさないこと!いいわね!」
「そう言ってくれると思ったよ。ありがとう、ロビン。」
ライトはそう言いながら通り過ぎる時、ロビンの肩をポンと叩き、船から降りて行った。
「まったく…。ホントに勝手なんだから…。」