海の乙女
―――…
「ん…ここは…」
体を起こそうとすると手に重みを感じ、目を向けると手錠が施されていた。
あたりを見渡すと、広いホールみたいなところにあたしは一人ポツンといた。
現状を理解しようとしていると、コツッという足音がホール内に響いた。
「おかえり、わたしの玩具よ。」
「!!」
声のする方を見ると、そこには今まで私を牢屋に閉じ込めていたグリフィス男爵がいたのだ。
そのあとに続き兵達が入ってくる。
「散歩はどうだったか?」
そうだ。
あたしグリフィスの兵に捕まって気絶させられたんだ。
「……っ。ライトのところへ帰して!」
「なぜだ?どうせまた闇市で売られるのがオチだろう?」
「違う…」
「は?」
「違う!!ライトは…みんなはそんな人じゃない!!あたしの話をちゃんと聞いてくれた!!」
「っ!こざかしい娘め!」
パンッ――
「っ!!」
理解するのにはすこし時間がかかった。
頬を叩かれたのだ。
「『玩具』は玩具らしくしておけばいいのだ!!」
「っ…」