海の乙女

「ライトっ!!」

あたしは無我夢中にライトに飛びついた。

「ごめんな、一人にして…。怖かったろ…。」

「ライトォ…っ」

「グリフィス男爵、お姫様は帰してもらうからな」


―――…

ライトに手錠を外してもらい、グリフィスの城から無事抜け出した。

今は他の兵に見つからないように雑木林の道を歩き、船に向かっているんだけど…

「も、もう下ろしてくれて大丈夫だよ…?」

城から逃げ出す時からずっとお姫様だっこをされているのだ。

「足ケガしてるくせに無理するなよ。」

「!!…気づいてたの?」

「少し腫れてるし、足引きずってたからな。」

「……」

「まったく、ムチャするよなぁ。」

「ごめん…。」

「でも、ま…無事でよかったよ…」

その言葉にあたしはライトの首に回している手をキュっと握った。
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