海の乙女
ロビンと別れたあと、ライトは街を宛てもなくブラブラと歩いていた。
真夜中ということもあり街は静寂につつまれていた。
「(やはりあの声は気のせいだったのか…?)」
少し考えていると、風がビュウっと吹いた。
「…っていうか…さびー!」
もうすぐ春がくるとは言え、まだ夜は冷えるこの季節。
薄着のせいでもあるが、風が吹けば体がブルッと震えてしまう。
寒さに耐え切れず、ライトは諦めて帰ろうとした。
と、その時――
貴族が住むという屋敷で緊急を知らせる鐘がカンカンと鳴り響いた。
「何の騒ぎだ…?」
この街には一週間ほど滞在していたが、今までこんなことはなかった。
ライトはいそいで屋敷に向かって走った。