海の乙女
何もすることもなく暇だったので、あたしは自分の部屋に行くことにした。
他のみんなは相部屋らしいけど、なぜかあたしには部屋を一つ貸してもらっている。
あたしもみんなと一緒でいいって聞いたらフレッドは「リリィは女の子だからいいんっスよ」
って言われた。
あ、そういえばライトとロビンも一人部屋らしい。
ライトは船長だし、ロビンは航海するための資料や海図がたくさんあるから当然なんだろうけど。
普通の乗組員なのにあたしだけ部屋をもらうだなんて、なんだかみんなに申し訳なくなってしまう。
この船に乗ってから今日で3日目。
船にはたくさんの乗組員がおり、名前を覚えるのが大変だった。
中には見た目が怖い人もいるけど、みんないい人たちばかりですぐに仲良くなれた。
船内もとても賑やかで楽しい日々。
たった数日であたしのなかで当たり前になりつつある。
…だけど今は
あんなに賑やかだった船内には誰もおらず、あたし一人。
改めてこれは当たり前ではないんだと感じた。
「あたしも一緒に行きたかったな…。」
でも、仕方ないよね…。
この前、布かぶっただけで街におりたら兵にばれて散々な目にあったし…
ヒマだなぁ…
あたしはソファに座りボーっとしていた。