海の乙女
ふと気が付くと、あたしは真っ暗な所に一人ポツンと立っていた。
ここ…どこ…?
――私の玩具よ
「!!」
後ろを振り返るとそこには…
「グリフィス…様…」
巨大なグリフィス男爵がそびえ立っていた。
あたしは逃げようとすぐに走り出した。
だが、あたりが真っ暗なためいくら走っても前に進めているという感覚がなく、ゆっくり歩いてくる男爵がどんどん差し迫ってくる。
――お前に一体何が出来るというのだ
――普通にできることが何もできない
「そんなことない…っ!」
――儚くもろい人魚よ
「きゃ…っ」
あたしはつまずきこけてしまった。
振り向くともうすぐそこまで彼が差し迫っており、立とうにも足がすくみ動けなくなってしまった。
――お前の居場所はどこにもない
――お前は私のモノだ
「やだ…」
――誰にも渡さん
――私を楽しませろ
「やだよ…」
――一生檻の中でな
「いやーー!!」
影があたしを飲み込もうとした。