海の乙女

その後、ライトと他愛もない話をしていた。

いつの間にかあたりは茜色に染まっていた。

「さて、そろそろ準備できたころかな?」

「準備…?」

そういってライトは倉庫を出て、甲板へと続く扉へと向かった。

あたしも慌ててついて行くとライトはその扉の前で止まった。

「リリィ、なんで今日リリィだけ船に残して街に出かけたと思う?」

「?」

「このためだよ」

そう言ってライトが扉を開けるとパンッ、パンッとクラッカーの音が鳴り響いた。

「!!」

「ようこそ!!ソラーレ号へ!!」

いきなりのことで困惑していると、ライトはあたしの頭にポンッと手をのせて言った。

「ちょっと遅くなっちゃったけど、リリィの歓迎会だよ」

「え…?」

「みんなリリィが仲間になるの、歓迎してんだ」

「さて、まずはプレゼントからね!」

そう言ってロビンから渡された箱を開けてみると

「カ…カツラ…?」

茶色でロングのカツラが入っていたのだ。

「ウィッグと言って!……これで次からは一緒に街に下りられるでしょ?」

「!!…ロビン」
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