海の乙女

みんなの笑い声や音楽も鳴り響き船内はとても賑やかだ。

「よう!リリィ!」

「アデル!」

アデルは船大工でフレッドの師匠。

茶髪にヘーゼル色の瞳だ。

ガタイに似合わず、手先が器用でバイオリン演奏も得意なのだ。

現にさっきも仲間たちと楽しそうに演奏していた。

「その服よくにあってるじゃねーか」

「ありがとう」

「そうだ!なんか一曲歌えよ」

「歌?」

「ほらいくぞ」

そういってアデルは仲間に目配せをして楽器を奏でだした。

こういう強引なところもあるけど恨む気にならないのは人柄のせいか。

アデルの目配せに観念したあたしは歌い始めた。

「~♪」

最初アデルは驚いた表情を見せ「…うま」と言っていたが、あたしは歌に集中していたため気が付かなかった。

歌い終わると賑やかだった船内はいつの間にか静かになっていた。

「リリィすげー!!」

「柄にもなく感動しちまったぜ」

「そんなことないよ」と言いながらも嬉しくてつい笑みがこぼれてしまう。
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