海の乙女

歓迎会も佳境にさしかかった頃、あたしは上甲板からみんなの楽しそうな様子を眺めていた。

「ドリンクでもいかがですか、姫?」

後ろを振り向くとケビンがドリンクが入ったグラスを差し出していた。

ケビンさんはこの船のドクターでお兄さんみたいな存在だ。

「ケビンさん。ありがとうございます。」

「驚いた?みんなリリィにバレないように必死だったんだ。まぁフレッドは怪しかったけど…」

「はい。ビックリしました!」

「…実はねこの計画、ライトが考えたんだよ。」

「ライトが?」

「ライト、徹夜でこれ考えてたんだ。リリィちゃんがどうすれば喜ぶかって。」

全然気が付かなかった…

「あとでちゃんとお礼言わなきゃね?」

「はい…。」

「おーい!主役ー!!そんなとこでなーにやってんだ?」

「わ!!」

いきなりニックが後ろから肩を組んできた。

「楽しんでるかー!はははー!」

「ニックはもう出来上がっちゃってるね……。」

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