海の乙女

「うわぁー!すごい賑やかだね!」

船は接岸され、あたしたちは港に降りた。

あたしは初めて上陸についウキウキしていた。

「ここはいつもこんな感じだよ」

「へー!!…でも、なんで男装なんかしなきゃいけないの??」

そう。

いまのあたしの恰好はどこからどう見ても男の子。

歓迎会のときにロビンからもらったカツ…じゃなくてウイッグも装着済みだ。

ただウイッグはロングのものだったためロビンに帽子のなかに髪を入れてショートカットのようにしてもらった。

ウイッグさえかぶっていれば、あたしを人魚と思う人はいないだろう。

「もちろんオレたちみたいな温和な海賊もいるが、逆に野蛮な海賊も集まるんだ。変なやつにも絡まれやすい。とくに女はな」

「そうなの?」

「基本オンナは海賊船には乗れない。まあ例外もあるが…」

例外?

「ま、そういうことだからオレたちから離れないようにしろよ」

「わかった」
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