海の乙女

人ごみを進んでいき、ある一軒のお店にの前に着いた。

「な、なぁ…ほんとに行くのか?」

普通の飲み屋のようだが、どうやらここが目的地のようだ。

「なに言ってるのよ。あなたがいないと彼女、悲しんじゃうわよ」

ロビンは「彼女」という言葉を強調するように言う。

彼女ってニックの恋人とかなのかな…?

「やっぱりオレ、店の前で待ってるわ…」

「ほーら、早く入るわよ」

ニックはなぜか入るのを渋っていたが、ロビンは楽しそうに無理やりお店の中へニック連れて行く。

ライトに続いてお店の中にはニックやロビンと一緒に入ると…

「ごめんなさーい!まだ開店時間じゃないのよー…って、あっらー?ライトじゃないの!」

お掃除中のオカマさんがいた。

「久しぶりだな」

「あっ!じゃあライトが来てるってことは…」

あることに気が付いたのか、彼…ではなく彼女は目をキラキラさせ始めた。

ロビンはニックの腕を引っ張り自分の前に出させた。

「よ、よお。カルロス…」

「やっぱり!ニックも来てたのね!けど、あたしの名前はキャサリンよ?何回言えば覚えてくれるのかしら?」

カルロス…もといキャサリンは名前には似合わず、顎はひげを剃ってはいるものの青く、腕はリンゴを一瞬で握りつぶせそうなほど太かった。

現に、今ニックがキャサリンに潰されそうになっているが…。
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