海の乙女
「どうしたのぉー突然。あなたがここへ来るなんて久しぶりじゃなーい!あ、もしかしてあたしに会いに来てくれたのー?キャサリンすごいうれしいぃー!」
キャサリンは一人で勝手に盛り上がり、嬉しそうに頬に両手を添えて喜んでいた。
あたしはさっきロビンが「彼女」と意味ありげに言っていたのは、こういうことだったのかと一人納得していた。
「だから来たくなかったんだよ…」
ニックは本当に嫌そうで片手で顔を覆った。
「我慢しなさい。これもリリィのためよ」
ニックごめんなさい…
「あらぁ~ロビンじゃないの。相変わらずブサイクだこと。メイク変えた方がいいんじゃないの~」
「アドバイスありがとう。参考にさせてもらうわ」
「なによその言い方。キャサリンが親切に教えてあげてるのに~」
「ご親切にどうも」
キャサリンはロビンの返事が気に入らなかったのか、キーッと言いながら口にハンカチを加え引っ張っていた。
どうやら二人は犬猿の仲らしい。
というか、キャサリンが一方的に喧嘩を売っているだけロビンは軽く流している。
ロビンはキャサリンの対応が面倒なため、ニックを身代りのために連れてきたのだということをなんとなく悟った。