海の乙女

―――…

翌日、船内は騒然となっていた。

朝起きるとリリィの姿が忽然となくなっていたからだ。

今は船内中探しているが見つかる気配がまったくない。

「たっく、どこ行ったんだ…」

もしかしたら、海へ飛び込んだのか…?

リリィは人魚だ。

どこへだって行ける。

だが、そうする理由がない。

陸にあがると銀髪のせいで人魚だとばれてしまい、すぐに捕まってしまう。

あまりにもリスクが高い。

そうすると答えは一つしかない。

「見張りはどうした!?」

「すいませんっ!ついウトウトしてしまって…」


「キャプテン!手紙が!」

「手紙?」

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ライト・フィリップ殿――

姫は頂いた


帰して欲しくば、〜へ来い


ウィリアム・ジョンソン
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「やっぱりか…」

ライトの予感はあたっていた。

「〜へ出航だ!」
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