海の乙女

上着に袖を通すと前にロビンに服を借りてたときと同じで、やはり大きくお尻まですっぽり隠れた。

「でも入ってきたのがロビンでよかった」

「なんであたしだといいのよ?」

「え…だって…」

同じ女性だし…とあたしが答えようとしていると、バタバタ廊下を走る音が聞こえてきたと思ったら

「おい!さっきリリィの悲鳴聞こえたけど大丈夫か!?」

ライトが勢いよく入ってきた。

続いてフレッドやニックまで部屋に入ってきた。

「大丈夫よ。コケただけみたいだから」

「ったく、心配かけるなよ」

「ケガとかしてないっスか?」

「うん、大丈夫。みんなありがとう」

そういうとライトはあたしの頭にポンポンッと手をおき「気を付けろよ」と言い残し、ゾロゾロと三人は部屋から出ていった。

その光景を見ていたロビンは「まったく、あいつらも過保護よねー」と言いながら二人でくすくす笑った。

「あ、それでどうしたのロビン?」

「はいこれ。今日のお礼よ」

ハンカチにくるまれた包みを渡された。

開けてみるとこんがり焼けたクッキーが入っていた。

「わぁ!すごくおいしそう!これロビンの手作り?」

「そうよ。ニックにお願いしてキッチンを借りたの」

まだ温かいからついさっき出来上がったのだろう。

「そうだ!せっかくだから一緒に食べようよ!」

「え?いいわよ。もう夜も遅いし」

船内で唯一の女性だからもっと仲良くなりたいと思っていた。

「いいからいいから」と言ってあたしはロビンの腕を引き、半ば無理やりロビンを席に座らした。
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