海の乙女

「僕はパトラー家の御曹司のモリス。ああ、なんて美しいんだ。今まで見た女性の中でも一番だ。視察だなんて面倒だと思っていたけど、君と出会うただったのか。」

「いや、だから…」

「大丈夫、言わなくてもわかってる。キミも僕と同じ気持ちなのだろう?キミと僕がであったのはまさに運・命!惹かれるべくして惹かれたのだよ!」

言葉をはさむ隙間もないほど一気にまくし立てられたロビンは言葉を失っている。

「言葉も出ないほどこの出会いに感動しているのかい?仕方ないさ。僕はこの街で一番のイケメン…。キミと結婚するなんて知ったら周りの女性は黙っていないだろう。あああ、心配しなくても大丈夫。必ず僕が守るからね、マイ・スウィートハニー」

そう言って彼はロビンに向けてウインクをした。

「モリス様そろそろお時間でございます」

モリスの執事が懐中時計を見ながら促した。

「あぁ、神様とはいじわるなものだね。僕たちを引き裂こうとしている。でもこの強い愛はだれにも止められない。さぁプリンセス、パーティーの招待状だ。明日の午後4時に迎えに行くよ。よかったらそちらの付き人たちもご一緒にどうぞ。」

付き人ってあたしやライトのこと…?

「それではまたね、僕のお嫁さん。ん~まっ」

最後にロビンに向けて濃厚な投げキッスをしながら馬車に乗り、その影はだんだん小さくなっていった。

あたしから見ても少し気持ち悪かったからロビンからしたらもう鳥肌ものだろう。

こうしてひと時の嵐が去って行った。
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