ダイスキが止まらない
新しい季節
高校生になって、1年が過ぎた。
今年で高2なワケだけど、なんだか実感が湧かない。
遅くなりましたが、あたしの名前は『津月 沙恵(ツヅキ サエ)』。
普通の女子高生のつもり。
ただ1つ、難点があるとするなら…
赤点候補のブラックリストに載っている事くらい。
…これはかなりマズい。
新学期になるとは言え、安心なんてしてらんない。
近々テストがあるとか…
高校生活、夢に描いた楽園とは全くの別世界だったりする。
「あっ、沙恵!」
新しいクラスに入ると同時に手を振る女の子が1人。
「真里っ」
その姿をとらえて足早に近寄る。
『佐野 真里(サノ マリ)』
高校になって出来た大親友。
去年は同じクラスだったけど、ここにいるって事は…
「もしかして、この教室?」
「そうだよ?沙恵とまた一緒だね」
「ホントに!?やったぁッ」
心底喜んだ。
真里が一緒なら高校生活も少しは楽しくもなる。
大げさだけど、それほど嬉しい…
そんなあたしを見て、真里はクスクスと楽しそうに笑った。