最愛の君へ
兄に支えられながら

これまで味わった事のない

重すぎるぐらいの足取りで

病院の階段を上り

母ちゃんの病室までたどり着いた

病室で眠る母ちゃんの顔は

痩せ細っていて

元々色白の母ちゃんは

例えは悪いかもしんねぇけど

雪見大福の様に

真っ白な顔色をしていた

俺は母ちゃんの細い手を強く握り締めながら

声にならない程のかすれた声で

ごめんとだけ呟いて

声を押し殺して泣いた

この日から

俺は変わると決めたんだ

須藤龍

中学3年の冬の話
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