最愛の君へ
それじゃ…なんて言いながら去って行く彼女に

軽く手を振り返していると

さっきまでの緊張感は無くなっていて

それどころか顔はニヤけている様な気さえする

『りゅ~う~ちゃんっ!!!』

突然後方から共倒れしそうな勢いで飛び付いて来たのは…


『んだよ壱!!』

『何知らない間に仲良くなっちゃってんの~?』

『仲良くねぇ~よ!!』

『にしちゃ~顔は緩んでるぜ?』

『拓まで何言ってんだよ!』

『まぁまぁ龍ちゃん☆そんな照れなさんなって☆☆』

『壱てめぇ~シバクゾ…』

『ムキになっちゃって~☆』
はぁ?

何二人して俺からかってんの?

意味わかんねぇ…

『初めて見た~☆龍ちゃんが同様するす・が・た!』

『龍。お前あの女に惚れてんだろ?』

はぁ?

俺が?

あの性悪女に?

無い無い…

絶対無い…

『バカバカしい~帰る』

『んな怒んなよ!』

『龍ちゃんごめんってば~』

独りふて腐れて歩く俺を見て

こちらに歩み寄るあいつらは

少し焦っていたみたいだけど

そんなの気付く事もなく二人の言葉に同様していて

さっきまでの会話がひたすら俺の頭でリピートしていた

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