素顔の先輩と甘い休息〜番外編〜
翠央が、カバンを手にして俺の前を通り過ぎようとした時……
無意識に翠央の細い腕を強く掴んだ。
行かせたくないって思った。
離してほしい、と腕を引っ張りながらお願いする翠央の声なんて、あまり耳に入って来なかった。
心が嫌な感情で埋めつくされる。
なんで相沢先輩なんだよ?
近くにいる俺じゃなくて、今まで名前さえ殆ど口にしたことなかった相沢先輩のところに……翠央は行きたいのか…?
どうして俺じゃダメなんだよ…?
心の中で、急速に翠央への想いが膨らんでいく。