ケンカ友達に恋する17才。
●初純side
美術コンクールから数日後。
最近、いろいろあって気づかなかったが、もうすぐ夏休みに入る時期になった。
強い陽射しと、セミの声が聞こえる。
「おはよ─」
「おはよう、初純」
私はいつものように毎日を送っている。
まるで、陽ちゃんの存在を消していくかのように。
「おい!来るの遅いんだよ!」
「え?」
「宿題、見せろ」
「はいはい」
私は席につくなり、カバンを開けて宿題を取り出す。
「サンキュー♪」
ニッと白い歯を見せて笑う恭平にドキドキすることも、陽ちゃんのことと同じように消していく。
そう、全部夢だったんだ。
…─すべて。