ケンカ友達に恋する17才。
●恭平side
───………
「ありがとうございました!」
練習が終わり、体育倉庫にボールを直しているとき、一登がボールを持って倉庫に入ってきた。
「お疲れ」
「…お疲れ」
しばらくの沈黙の後、一登が口を開いた。
「恭平」
「ん?」
「今日、転校してきた宮下だけど…、」
「あぁ、『陽ちゃん』だろ?」
「えっ…うん」
一登は少し驚いていた。
そりゃそうだ。
なんで『陽ちゃん』という言葉なんか知ってるのか、びっくりしたんだろう。
忘れはしない。
体育祭の時、初純が寝言で言った言葉。
『…行か…ないで……
…陽ちゃん…っ!』