2月を笑う
こうなると次の電車の利用客も駅に次々到着し、「あっ」「あー」「ああ…」という「あっやけに人が多いぞ?」「あー電車遅れてるわけね」「ああ…朝から鬱だ…」の三段階をすべて「あ」の表情で表現するという、実にニッポン人らしい奥ゆかしい表情の変化を見せると、しかし自分たちも一本でも早い電車に乗らねばと、虎視眈々と目を光らせ隙間という隙間に身を滑らせます。

というわけで、ようやく来た電車は、下品を承知の上で申し上げるにババ混みです。
ぎゅうぎゅう詰めの酸欠寸前で、とりあえずみんな上を向いています。涙がこぼれないように。

昨夜食ったもん出したろかっという剣幕で私も乗り込み、耐えに耐えること数分。
事件はその時おこりました。
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