スキの魔法
「……何をしてるの?」
低く、冷たい声が聞こえた。
―――――え。
侑志から離れて、後ろを振り向く。
「っ…侑麻さん…」
侑麻さんの冷めた瞳があたしを捉えている。
「綾華ちゃん、ちょっと来てくれる?」
「母さん、違うんだ」
「侑志は黙ってて。綾華ちゃん、いいかしら?」
「……はい」
ものすごく怒ってる…。侑麻さんの顔、険しかった。
とにかく、行くしかない。
あたしは立ち上がり、侑志の部屋を後にした。