スキの魔法
「さよりさんと出会ったのは、高校の入学式の時よ。とても綺麗な人だった。私から声をかけて、友達になったの。」
……そうだったんだ。
「さよりさんは、恋愛に全く興味がない人だったわ。私には好きな人がいたけど。でも、ある日…さよりさんが一目惚れした、と教えてくれたの。お互い、頑張ろうって約束したわ。まさか好きな人が一緒だなんて、思ってもみなかった。」
嘘…て事は…
「少しして、お互いの好きな人を教えあおうっていう事になって。私が先に教える事になって、さよりさんを連れて行った。教えたら、さよりさんは戸惑ったの。それで、聞いたら、一緒だったのよ。一志さんの事が、好きだった。それから私達は、親友として、そしてライバルとしての仲になったわ。」
ライバルだったなんて…
驚くあたしを放って、侑麻さんは先を続ける。
「それで、最終的に…一志さんが選んだのは、さよりさんだった。でも、不思議と恨みなんてなかったわ。私は2人の幸せを心から願う事が出来た。
私達3人は、すごく仲が良くて。高校はずっと3人でいたわ。大学は私だけが離れて…でも、時々会っていた。会う度に、2人の幸せそうな姿が見れて、すごく嬉しかったわ。」
侑麻さんはその頃を思い出しているのか、瞳を瞑って話している。
すると、侑麻さんの瞳が開いた。
その表情は、とても歪んでいる。