スキの魔法
「…遅くなった。悪いな。」
待ち合わせの場所に着くと、大稀が立っていた。
「遅い!」
「だから謝っただろ」
「手伝ってやんないよ?」
「……ごめん」
大稀がいないと困る。
家が色々な会社との結び付きがあって、情報を得る時にはかなり頼りになる。
「あっそうそう。早速だけど、この会社の人がね、見たらしいよ。夜中の2時すぎに。」
そう言って、俺に写真を見せる大稀。
「仕事の後に迎えに来てもらった車の中で、見たらしい。間違いないって。」
夜中の2時…。
そんな時間に1人で…?
…馬鹿かあいつは。
そんな時間に女が1人で、危ないって分かんねえのかよ。
……違う。
あいつはわざと夜中に家を出たんだ。
俺達にバレないようにするために。