スキの魔法
「失礼します…」
恐る恐る扉を開けて部屋に入り、ベッドに近寄る。
寝ている侑志の顔があまりにも綺麗で、あたしは思わず息を呑んだ。
……っいけない。
「侑志…起きて」
そう言いながら、肩を少し揺らす。
「ん…」
「起きてってば。」
大きな声を普段出さないから、急に大きな声を出すのが難しい。
…ほんとに、朝起きるのニガテなんだ。
起きそうにない侑志を見ながらそう思っていると…
いきなり、侑志の目が開いた。
目の前に侑志の綺麗な顔。今更だけど恥ずかしくなって、バッと離れる。
「おはよ。」
「おは…よう」
侑志が起き上がる。あたしは視線が逸らせない。
「ありがとね。じゃ、お疲れ。」
出てけ、と目が言ってる気がして、あたしは静かに部屋を出た。
「ふー…っ」