スキの魔法
朝から豪華すぎる食事をする。
そして、真新しい、綺麗な制服に腕を通す。
……似合わない。
心の中で、深すぎる重い溜息を落とす。
こんな短かくて可愛いスカート、あたしに似合うわけない。
だからといって、『いや』だなんて言えない。
言った所でどうにも出来ないし、言って何を言われるか分からない。
――――人はこわいから。
人を、信じることが出来ない。
昔の事が、褪せることなく蘇ってくる。
……イヤだ。辛い。思い出したくない。忘れたい。やめて。
左右に首を振り、記憶から消そうとする。
「…や…綾っ!!」
―――!!!!