スキの魔法
「家を出てった理由は?」
侑志が優しい声で訊ねる。でも、その顔は険しい。
あたしは、正直に全てを話した。
侑麻さんから聞いた事、全てを。
侑志は流石にビックリしてた。
侑志の顔に怒りの色が浮かぶのが分かった。…でも。
「侑麻さんは何も悪くないよ?」
あたしは、笑って言った。
「何で?」
侑志が眉間にしわを寄せる。
「…とにかく、悪くないの。侑志、あたしね、侑麻さんと話がしたい。」
あたしがそう言うと、侑志は少し考えて頷いた。
侑志が車を呼ぶ。
迎えに来た車に、あたし達は乗り込む。
そして……
――あたしが出てった、あの邸へ―――。