スキの魔法
車に綾と乗り込み、家へと向かう。
隣にいる綾は、何かの覚悟を決めたかのように真っ直ぐ前を見据えている。
綾からさっき、事実を聞いて驚いた。
母さんが綾を嫌い、とか…。
だから俺は渡さない、とか…。
そんなの、俺が自分で決める。
それに……、
綾のお母さんは、綾を産みたくて産んだんだと思う。
きっと、“死”も覚悟して。
だから、綾を恨む必要はない。
もし……母さんが何かしても、俺が綾を守る。
窓から見える景色を、そんな事を考えながら見ていた。