スキの魔法
そんな事を1人思っていると、侑志の後ろに隠れているあたしに、皆がやっと気付いたらしい。
「侑志様、後ろにいらっしゃるお方は?」
1人の女の子が侑志に訊ねた。すると侑志はあたしの肩に手を回し、隣に立たせる。
…お嬢様方の冷たい視線があたしに突き刺さる。
あたしは俯きながら思う。
別に、触れられたい訳じゃないのに…。
「この方は、私と一緒に住む事になった本城綾華さんです。昨日この街に来たばかりで、不安なはずです。皆さんに迷惑をかけるかもしれません。ですが、皆さん。仲良くしてあげていただけませんか?」
侑志の言葉で、あたしに対するお嬢様方の瞳が変わる。
侑志の優しいオーラが周りを包んでる。
「もちろんですわっ」
そう声を揃えて、頬を染めるお嬢様方。
…でもきっと、その態度も今だけ。
なんて、そう悪く思うのはあたしの癖。
侑志の手が離れ、ほっと溜息を落とす。
再び侑志が歩き始めたので、あたしも後を追う。
「!? きゃっ!?」