スキの魔法
広すぎるこの学校。場所を覚えるの、大変じゃない?絶対迷うよ。
なんて思ってたら、今日は学校案内と先生に言われた。
ほどよい筋肉のある若い先生が丁寧に説明してくれた。
完璧に覚える事は出来なかったけど、大体覚えた。…気がする。
因みに、大稀くんも同じクラスだった。
人がキライなあたしに友達が出来るはずもなく。1日目は終わった。
……特に何もしてないんだけど、疲れた。
「綾、帰るぞ。」
耳元で侑志にそう囁かれて、あたしは小さく頷いた。
帰りの廊下。皆からの視線を浴びながら歩く。侑志は大勢の人に見られること慣れてるんだろうけど、あたしは慣れてない。
俯いて侑志の少し後ろを歩いた。
お嬢様方の冷たい視線を感じる。
…やっぱり。
今日何度目か分からない溜息を零した。