スキの魔法
それから、綾の過去の話を聞いた。
…小学生の頃、今と同じような姿をしていた綾は、男にかなりモテていた。
だから、女達には恨まれ…友達は出来なかった。
生まれてからずっと…綾は“友達”という存在を知らない。
俺には…うるさい奴だけど、ずっと一緒にいてくれた大稀がいるし。
俺が今いるのは…大稀のおかげでもある。
そんな奴が1人もいないって事は、孤独だよな。
しかも、最終的にはいじめられて…。
人を信じられなくなるのも無理はない。
そして、男も恐い存在に…。
だから、中学校は初めから地味でいたらしい。
やっぱり友達は出来なかった、と綾は苦しそうに笑った。