スキの魔法
「あっそうそう!綾華チャン、侑志が呼んでるよ?」
大稀君がニコッと笑って、侑志を指さす。
あたしは大稀君の指す方へと、おそるおそる視線を向ける。
あのー…侑志がすごく不機嫌に見えるけど…気のせいですか?
「ありがとう。」
とりあえず大稀君にお礼を言って、男子の間を通り抜ける。
そして…壁に凭れかかって腕を組み、こちらを睨んでいる侑志に近付いた。
「ど、どうしたの?」
ずっと睨んでくる侑志に、恐る恐る訊ねる。
…恐いんですけど…ッ!!
昨日怒ってないとか言ってたけど…やっぱり怒ってんじゃん…。