スキの魔法
「中身を見て、か…」
後ろでクスッと笑みが聞こえた。
サイテーだ…あたし。
何、生意気な事言ってんの。
侑志の彼女でもないくせに……。
でも…分かってほしかったんだ。
苦しんでる人がいるって事。
外見だけ見られて、中身を見て貰えないって。
だから、もっと中身を見て貰いたかった。
だけど……
「……ごめんね」
あたしはそう呟いて、侑志から離れた。
そして、あたしは走る。
侑志があたしの名前を呼ぶ声が聞こえたけど、振り返らずに走った。