スキの魔法
――コイツが、こんな地味な格好をする意味は何となく想像がつく。
でも、ずっと変わろうとしないのは悲しい事だと俺は思う。
うじうじしてたって、何も変わらない。何も進まない。
…ただ、無駄な時間が過ぎて行くだけ。
そんな人生、面白いわけない。
…なんて。
俺に、人のことを言える権利なんてないんだけどさ。
自分だって、“女”と関わるのを避けてるくせに。
―――でも。
綾といる事で、俺の何かが変わる気がした。