スキの魔法
いきなり怒鳴られて、目を見開いた。
大稀は滅多に怒ったりしねぇから。
でも今…今までで一番怒ってる。
周りが一気に静かになり、俺達に視線が集まった。
「いつまで逃げてんだよっ!?お前にとって大切な人じゃねーのかよ!??」
俺が…逃げてる?
「大切な奴なら…最後まで守ってやれ。しっかりしろよ、侑志」
そうだ…。俺は決めたんだ。
“綾を守る”って。
何やってんだ…俺。
相手の気持ちを知ろうとしないで、ダサい俺を自分で作って、人に当たって。
大稀の言うとおり、俺は逃げてた。
バカだろ……。