スキの魔法
「綾!!!」
そう言うと同時に、部屋の扉を開ける。
そこには、綾と細井がいた。
俺に気付いた細井は、綾の耳元で何かを言った後、俺に微笑み部屋を出て行った。
俺は綾を抱きしめる。
「侑…志。ごめんなさいっ…。また迷惑、かけて…」
途切れながら、綾は俺の腕の中で謝った。
…綾には、迷惑“かけられて”ばっかだよ。
「…ほんとだよ。何回迷惑かければ気が済むんだよ、お前は」
なんて、気付けばそんな事を言っていた。
「っ…ごめんなさい」
綾がまた謝る。
「…無事で良かった。」
事故に遭ってたら…とか、最悪なこと考えてたから。
綾を抱きしめる腕に力を込める。
「来てくれて、ありがとう。」
「…ん」
もう迷惑かけんなよ。
綾がそれから静かになり、俺も黙って綾を抱きしめていた。