スキの魔法
「…何で怒ってんの~?」
そんなのんびりとした口調できくヤツは、俺の小学校からの幼馴染で、そして親友でもある、大稀。
ずっと一緒だったから、いろいろ知ってるつもりだ。
昔から、女には俺と変わらないくらいの人気がある。
大稀も俺と同じように、外見だけしか見られない事に悩んでいた。
…だが、そんな悩みを抱えているのに、大稀は女とよく遊んでいる。
俺には全く理解出来ない行動。
……まぁ、大稀にも理由があるんだろうけど。
「…別に。怒ってねーけど」
「ふーん?…ま、いいやっ!!で、綾華チャンだっけ?その子地味だねー。初めて見たよ、あんな子。」
大稀の言葉に、俺は今さっきの綾を思い出す。
「…まーな。でも。あいつにはあいつなりの理由があるんじゃねーの?」
俺がそう言うと、電話の向こう側で大稀がクスッと笑った。
「……んだよ。」
イライラとした口調で言うと、
「いや~。侑志が女に“興味”を示してるなーって思ってさ!」
なぜか嬉しそうに笑っている。
「…別にそんなんじゃねーよ。」
「あ、そうなの?ざーんねん!!」
本当なんというか…
「あッ!女の子が来た!!じゃ侑志、また明日♪」
ブチッ――――。
勝手に会話を遮断される。
大稀はいつもそうだから、特に気にしてねーけど。