スキの魔法



―――翌日。




朝から騒がしい女たちに、表の笑顔を振りまく。





こんな笑顔にダマされるなんてバカだな…





と心の中で思いながら。






…今日から、綾は授業を受け始める。でも、特に心配する事はない。





必死にノートをとる姿を、少しの間見つめていた。





――――休み時間。




いつもと同じように、俺の周りには女の大群。





でも、俺が話す訳じゃなく、女同士で話している。





わざわざ俺の所に来てまで話すなよ…。





と、毎回思う。





ふ、と綾に目をやると、1人で読書をしていた。





すると、話していた女の1人が俺の視線の先を辿り、





「あの綾華っていうコ、地味ですよねー」




と、呟いた。うんうん、と頷く周りの女。





「この学校には似合いませんわ。」





「何で来たのかしら。」





口ぐちに言いたい放題言う女たち。





俺は、お前らの方がよっぽど嫌いだけどな。





心の中で深い溜息をついて、




「皆さん、もう時間ですよ。」




と微笑んだ。




「そうですわね。では。」




女たちが席へと戻っていく。




……はあ。





マジで疲れる……。





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