スキの魔法
「なぁ…何がそんなに嬉しいわけ?」
車の中。綾の髪に触れながら、顔を近付けて訊ねてみる。
「えっ…?…嬉しそう?」
俺の言葉に、綾がそう言ってキョトンとする。
どうやら、自分では気付いてなかったようだ…。
さすが綾だな…。
「朝からずっと、ニコニコしてるぞ?何かあんの?」
「えっ……何もない、よ?」
「……ふーん」
…嘘つくなよ。
目泳いでるから分かんだよ。
何で俺に隠すんだよ。
…気にいらねー。