スキの魔法
「侑麻様。いらっしゃいましたよ。」
デスクの上でパソコンと睨めっこしてる女の人が顔を上げた。
ふと、目が合う。すると、ニコッと笑ってくれた。
優しい人みたいだ…多分だけど。
無視しちゃ悪いから、あたしも笑い返す。きっと引きつってるだろうけど。
「私は上松(うえまつ)侑麻。よろしくね、綾華ちゃん。」
「あっ…はい。えっと…本城綾華です。よろしくお願いします。」
ペコッと頭を下げる。
「これからは、この家を自分の家だと思ってね。安心して。ちゃんと守ってあげるからね。」
「…はい。」
あたしがそう返事をすると、また笑ってくれた。
「あ、細井(ほそい)さん。綾華ちゃんを案内してあげて?一志さん、少し話しましょうか。」
「分かりました。では綾華さん、参りましょう。」
「あっ…はい。」
お父さんが侑麻さんと楽しそうに話しているのを見ながら、細井さんと一緒に部屋を出た。