スキの魔法
―――コンコン
「…はい?」
「入るぞ」
そう言って部屋に入って来たのは、侑志。
あたしは本を閉じて、侑志を見つめる。
「今から行くの?」
「おー」
「そっか。」
侑志があたしの机の椅子に座る。
「お前さ…」
侑志が途中で言葉を止める。
「………?」
「いや、何でもない。行って来る」
「あ、うん?行ってらっしゃい。」
侑志は立ちあがると、あたしにそっと近づいて…触れるだけのキスをした。
侑志が部屋を出て、扉がパタンと閉まる音が聞こえた。
……顔が熱い。最近キスされすぎ。ドキドキが止まらないよ…。
それに…今さっき言いかけた言葉は、何?