スキの魔法
「おー、侑志君。久しぶりだね。」
少し太っているおっさん。
が、俺が来るなり笑顔で手を差し出してきた。
「お久しぶりです。変わらずお元気ですね。」
この世界で慣れた、表の顔で笑い、手を握る。
「私も健康には気をつかっててね。さ、どうぞ座って。」
「はい。失礼します。」
そう言って、ソファに腰を下ろす。
このおっさん、細田(ほそだ)さんはこのビルの社長。細田グループはとても有名で、人気がある会社だ。
昔から付き合いがあって、とても優しくしてくれる人。
だから、断ることが余計に出来なかった。