スキの魔法
「しかし、侑志君も大人になったなぁ。1年会わないだけで、随分と成長したよ。」
俺を見ながら、目を細めて笑うおっさん。
1年も…会ってないっけ。そんなのいちいち覚えてない。
「そうですか?」
「あぁ。また一段と男らしくなっとる。」
そりゃどーも…。全然嬉しくねーけど。
「ありがとうございます。」
そんなどーでもいい会話をしていると…
「失礼します。」
部屋に男の人が頭を下げて入ってきた。
「お車の準備が整いました。どうぞ。」
「そうか。ありがとう。さて、侑志君。行こうか」
「っ…はい」
立った時、体がフラッと揺れたのが分かった。
頭痛も治まるどころかヒドくなってきてる。
マジでヤバいかも……。
そんな事を思いながら、部屋を出た―――。