スキの魔法
あたしが出来ることは全部した。
侑志は今、静かに眠っている。
侑麻さんには一応言ったけど…来ない。仕事が忙しいのかな。
まぁ…いいや。
侑志の寝顔をじいーっと見つめる。
本当にきれいだな…。
サラサラとした茶色の髪。整った鼻。薄い唇。キメ細かい肌。
まるで絵本に出てくる王子様みたいだ。
そんな人が、こんな地味なあたしを好きになってくれるわけ……
――って、え?
別に、好きになってもらわなくていいじゃん。ただ一緒に住んでる同居人。
あたしは侑志のこと、何とも思ってない。
ただ、普通に接することが出来るだけ。
今までにこんな事がなかったから、こんな不思議な感情を抱いてるだけなんだ。
うん。そうに違いない。
何度も自分に言い聞かせた。