スキの魔法
頭の中で焦ってると、侑志がぼやける視界に見えた。
「…あ、起きてる。」
そう言いながら、侑志はあたしのおでこに触れる。
「…まだ、熱あるみたいだな。」
侑志が呟いた。
「侑志…学校は?」
不思議に思った事を口にする。
「あ?休んだ。俺、一応病み上がりだからな。」
ニヤリと笑って言う侑志が見えた気がした。
一応病み上がり…?ホントに……
言いたいのに、キツくて喋る気になれない。
「とにかく、今日はゆっくり寝てろ。俺がちゃんと看病してやるから。」
侑志の言葉に、あたしは小さく頷く。すると、侑志が微笑んだ。
見えにくい視界のなかでのその笑顔に、不覚にも胸がきゅんとなった。
―――その後、侑志が隣で頭を優しく撫でてくれる安心感で、あたしは深い眠りについた。